
TSMC、77%増益で粗利率67.7%:2nm増産下で設備投資最大640億ドルへ
TSMCの2026年第2四半期決算は、AI向け需要の拡大とコスト改善により純利益が前年同期比77.4%増と大幅に伸長した。同社は強気な需要予測に基づき、設備投資額を最大640億ドルへ引き上げ、アリゾナ州への追加投資も進める方針である。
別名: N2, 2nm, 2nmロジック半導体, 2nm半導体
2nmプロセスとは、半導体製造における微細化世代の一つであり、TSMCが「N2」として開発・量産化を進める次世代ロジック半導体製造技術だ。従来世代と比較してトランジスタ密度を高め、AI処理性能と電力効率の向上を実現することを主な目的としている。FinFET構造から新世代のGAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造への移行を伴う点が技術的な特徴である。
2nmプロセスの核心となる技術変化は、トランジスタ構造の刷新にある。前世代のFinFETは、ゲートがチャネルの3面を囲む構造を採っていたが、GAAではシート状またはナノワイヤ状のチャネルをゲートが四方から完全に包囲する構造となる。これによりリーク電流を抑制しつつ、より高い駆動電流を確保することが可能となり、同一性能でのより低消費電力、もしくは同一電力でのより高性能という設計の自由度を設計者に与える。TSMCのN2世代においてこのGAA構造が初めて採用されており、プロセスノードの進化の中でも構造変化という意味で節目となる技術世代に位置づけられる。
2025年12月、TSMCはN2プロセスのHVM(High Volume Manufacturing:高量産)を開始した。この移行は業界にとって重要な転換点ではあったが、大きな発表を伴わない静かな開始であったと伝えられている。初期の量産枠においては、Appleが生産能力の半数程度を確保したとされており、TSMCにとって長年にわたる最重要顧客としての地位が量産初期段階においても維持されていた。
2026年に入ると、2nmプロセスを巡る動向が活発化した。2026年4月時点で、TSMCのN2量産は予定通り2025年第4四半期に開始されたことが確認され、Apple、NVIDIA、AMDといった大手顧客の採用が具体化していることが報じられた。
2026年5月には、AMDがCES 2026においてInstinct MI400シリーズを発表しており、同製品は2nm世代のプロセスを採用したAI向けアクセラレータとして位置づけられている。
2026年6月には、AppleのiPhone 18シリーズ向けA20 Proチップが、TSMCの2nmプロセスと新パッケージング技術WMCMを組み合わせて採用することが伝えられた。AI処理性能と電力効率の大幅な向上を目的としており、ベースモデルのiPhone 18についてはDRAM供給不足を理由にWMCMを見送りつつも、メモリ容量を12GBに増強するという差別化戦略がとられる見通しだ。
同じく2026年6月には、NVIDIAがAppleを抜いてTSMCの最大顧客になったとする報道もあり、2nmプロセスを含む先端プロセスへの需要構造において、AI半導体向けの比重が高まっていることが示されている。
2nmプロセスの競争においては、TSMCに対抗する形でSamsung Electronicsも動きを見せている。Samsungは米テキサス州テイラーの新工場を拠点として、Teslaとの協力関係を含む形でTSMCへの挑戦を図っているとされる。さらに2026年6月には、SamsungがHBM4E世代のバッファダイに2nmプロセスを投入する計画が報じられており、ロジック半導体だけでなくメモリ周辺のコントロール回路にも2nmプロセスの適用が広がりつつある。これはメモリをより高機能化し、AI処理の分散をメモリ側でも担わせるという設計思想の変化を反映したものであり、半導体業界全体における2nmプロセスの役割がAI時代において多層的に拡大していることを示している。

TSMCの2026年第2四半期決算は、AI向け需要の拡大とコスト改善により純利益が前年同期比77.4%増と大幅に伸長した。同社は強気な需要予測に基づき、設備投資額を最大640億ドルへ引き上げ、アリゾナ州への追加投資も進める方針である。

iPhone 18 Pro向けA20 ProチップはTSMCの2nmプロセスと新パッケージング技術WMCMを採用し、AI処理と電力効率を大幅に向上させる。ベースモデルのiPhone 18はDRAM供給不足からWMCMを見送るが、メモリを12GBに増強し、Appleはリリースサイクルを分割してサプライチェーンの負荷分散を図る。

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