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TSMC、2nmプロセスで半導体市場の支配強化:歩留まり60%超えで量産準備

Y Kobayashi

2025年3月24日

台湾の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)が2nmプロセス技術の開発で業界をリードし、SamsungやIntelとの技術格差を広げていることが明らかになった。アナリストによれば、試作段階での歩留まり率は既に60%を大きく上回っており、同社は2024年後半に新竹工場で量産を開始する計画だ。Appleが最初の主要顧客となる見込みで、2026年に登場予定のiPhone 18シリーズ全てに搭載される可能性があるという。

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TSMCの2nmプロセス技術の現状と量産計画

TSMCの2nmプロセス技術は、現在試作段階にあるが、既に高い歩留まり率を達成している。TF International SecuritiesのアナリストのMing-Chi Kuo氏によれば、約3ヶ月前に報告された60%の歩留まり率から、さらに改善が進んでいるとされる。2nmプロセス技術は、現行の3nmよりもさらに小さな半導体回路を実現し、より高性能で省電力なチップを製造することが可能になる。

世界最大の半導体ファウンドリー企業であるTSMCは、2024年後半に新竹工場で2nmプロセスチップの量産を開始する予定だ。同社は来週月曜日、高雄工場での2nmプロセス生産拡大を記念する式典を実施する計画も発表している。

アナリストの分析によれば、TSMCは2025年末までに2nmウェハーを月間50,000枚生産する能力を持ち、宝山と高雄の両施設が完全に稼働すれば、生産量は80,000枚に達する可能性がある。この生産規模は、世界の先端プロセス市場における同社の支配的地位をさらに強化するものとなる。

競合他社との技術格差

TSMCの主要な競合企業であるSamsungとIntelも2nmプロセス技術の開発に取り組んでいるが、両社ともTSMCの技術力と生産能力には及ばないのが現状だ。

TrendForce社のアナリスト、喬安(Joanne Chiao)氏によれば、Samsungは2nmプロセスで大きな顧客基盤をまだ構築できておらず、主要ユーザーは自社のシステムLSIユニットにとどまる見込みだという。韓国メディア「The Bell」の最近の報道によれば、SamsungはTSMCと同様にゲートオールアラウンド(GAA)アーキテクチャを2nmプロセスに導入しているが、歩留まり率はTSMCの半分以下にとどまっている。

一方、Intelは生産方法の数がTSMCより少なく、クライアントの要求に対する柔軟性が低いとされる。ただし、Intelは台湾のUMC(聯電)との協力により、ファウンドリービジネスでの売上を増加させる可能性があるとTrendForceは指摘している。

TSMCの高度な技術力、大規模な生産能力、そして多様な顧客ニーズに対応する柔軟性が、同社の競争優位性を支える主な要因となっている。

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顧客への影響と市場戦略

TSMCの2nmプロセス技術の最初の主要顧客はAppleになると予想されている。Ming-Chi Kuo氏によれば、2026年後半に登場予定のiPhone 18シリーズに、2nmプロセスで製造されたチップセット(通称A20チップ)が搭載される可能性が高いという。

TSMCは現行の3nmプロセス技術で、AIアプリケーション用チップのほぼすべてのグローバルビジネスを獲得しており、より高性能な2nmプロセスでさらに多くの顧客を引き付けると予想されている。同社は、より多くの顧客が新技術に関心を示していると発表している。

コスト削減の取り組みも進んでおり、2024年4月には「CyberShuttle」サービスを開始する予定だ。このサービスにより、顧客は同じテストウェハー上で複数のチップを評価でき、開発コストを削減することが可能になる。これにより、Apple以外の企業も2nmプロセス技術への移行が促進される可能性がある。

地政学的影響と今後の展望

TSMCは地政学的緊張が高まる中、米国での事業拡大を進めている。同社は今月初め、今後4年間で米国に1000億ドルの新投資を発表した。

Seeking Alphaの報道によれば、Citiグループのアナリスト、陳佳儀(Laura Chen)氏は、この投資により2030年までに先端ノード部門のファウンドリー市場で生産能力が20%以上増加する可能性があると指摘している。また、「TSMCの短期的な見通しと長期的な展望は順調であり、潜在的な合弁事業が先端半導体業界の構図を変えるとは予想していない」と述べている。

地政学的な懸念や競合他社の追随にもかかわらず、TSMCは半導体業界での支配的地位を維持すると予想されている。同社の高度な技術力、大規模な生産能力、そして顧客サービスへの取り組みが、今後も同社の競争優位性を支える要因となるだろう。


Sources

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