MicrosoftがPCメーカーに課すWindows OEMライセンス料を、2026年7月から平均7〜10%引き上げたと台湾の経済日報が8月10日に報じた。PCメーカーは新しい料金を製品価格へすでに織り込み始めたという。メモリーを中心とする部品費が先に大きく上昇しているため、店頭価格からWindows分だけを見分けることはできない。それでも、ハードウェアの値上がりを吸収してきたメーカーに、ソフトウェア費用まで重なる意味は小さくない。

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7〜10%という改定幅は、Windowsを載せるPCごとに効く

経済日報が取材したPCブランド幹部によると、MicrosoftはWindows OEMライセンス料を毎年改定している。過去の上昇率は多くの年で1桁台だったが、2026年7月からは平均7〜10%に達した。従来より大きな年次改定になったという。ただし、Microsoftは今回の改定率や対象地域、契約ごとの金額を公表していない。

OEMライセンスは、メーカーがWindowsを新しいPCへプリインストールして販売する際のものだ。Microsoftの2025年年次報告書は、OEMチャネルで売るWindows Proとnon-Proのライセンスを「Windows OEM and Devices revenue」に含めている。消費者が店頭でOS代を別払いしなくても、その費用はPCメーカーの原価に入る。

料金は全機種一律でもない。経済日報の取材に応じた幹部は、搭載するCPUの等級に応じて価格が変わり、Core i3、i5、i7の各機種でOSの料金が異なると説明した。製品ごとの引き上げ率にも差があるという。7〜10%という平均値から、特定のノートPCがいくら高くなるかは計算できない。

同じ2026年7月には、Microsoft 365の商用製品も価格が改定された。公式FAQが挙げる対象にはWindows E3、E5やWindows Enterpriseのデバイス単位ライセンスが含まれる。一方、これらは企業が契約する商用ライセンスであり、新しいPCへ載せるOEMライセンスとは販売経路が異なる。Microsoft 365の公式発表は、OEM料が7〜10%上がったことの確認材料にはならない。

PC本体の約5%値上げとは同じ数字ではない

台湾ではASUSAcerが2026年第3四半期にもPC価格を引き上げる見通しだ。経済日報は両社の動きを約5%または1桁台の上昇と伝えた。ASUS台湾の一部製品は、2025年第4四半期から2026年5月までの累計ですでに約30%値上がりしており、同社幹部は第3四半期にも1桁台の微調整を見込んでいた。

この約5%は台湾市場におけるPC本体の価格見通しで、Windows OEM料の上昇率7〜10%とは母数が違う。経済日報によると、PCメーカーは新しいOEM料を価格へ反映済みだが、消費者や企業が変化を感じ取りにくいほど、メモリーなどの部品費が大きく動いた。OS料金がPC本体の価格を何円押し上げたのかは、ライセンス料の絶対額とメーカーの転嫁方針が開示されない限り分からない。

したがって、PC価格の上昇をWindowsだけで説明するのは正確ではない。経済日報は、2025年後半からAIサーバー需要が旺盛になり、メモリーやSSDに加えてCPUも不足・値上がりしたと伝えている。中でもメモリー費用が増加分の大半を占め、2026年のPC値上げを主に押し上げたという。Windows OEM料は、その上へ追加されたコストである。

値上げの現れ方もメーカーや製品帯で変わる。メーカーが利益率を削って一部を吸収すれば店頭価格への転嫁は遅れ、構成を変えれば同じ価格でもメモリーやストレージ容量が下がる場合がある。価格表の数字だけを追うと、実質的な値上げを見落とす。購入時には同じ型番の過去価格とともに、メモリー容量やSSD容量も比べる必要がある。

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6,500万台・4%減が示す部品高の重さ

世界のPC出荷は2026年第2四半期に6,500万台となり、前年同期から4%減った。Counterpoint Researchによると、2025年第1四半期から5四半期続いた成長がここで途切れた。Windows移行とAI PC導入による法人の買い替え需要は残るが、メモリー価格の急上昇がメーカーの生産計画を縛り、価格に敏感な消費者の需要を冷やしている。

メーカーの対応は値上げに限られない。Counterpointは、エントリー機の構成を削る動きと、利益率が高いプレミアム機を優先する動きも挙げた。下半期も各社の値上げが続き、平均販売価格は上昇するとの見方だ。安価な構成ほど選択肢が細りやすい市場になっている。

Microsoftも、メモリー高がWindows事業へ及ぼす影響を認めている。同社は2026年4月29日の決算説明会で、1〜3月期のWindows OEM売上がわずかに増えた理由として、値上がりを見越したメーカーと流通の在庫積み増しを挙げた。その反動が出る4〜6月期は、Windows OEM売上が前年同期比で10%台後半減ると予想した。

Microsoftはその減少要因を、前年にWindows 10のサポート終了が需要を押し上げた反動、在庫の縮小、メモリー費用によるPC値上がりと市場縮小に分け、それぞれ約6ポイントの影響と説明した。数値はいずれも概算だが、OSを売るMicrosoft自身が、PC価格を動かす主な圧力としてメモリー費用を挙げている。今回報じられたOEM料改定は、すでに弱っている需要へ新たに加わる負担となる。

購入前に見るべきは改定率より実売価格と構成

PC購入者にとって、7〜10%という数字をそのまま予算へ足す意味はない。ライセンス料の元の金額が不明で、CPU等級やWindowsの種類、メーカーとの契約によっても変わるからだ。影響を確かめるには、同じ地域で同一構成の実売価格を追い、値上げ後にメモリーやSSDが減っていないかを見る方が確実である。

法人調達では、見積もりの有効期限も重くなる。メーカーが既存在庫を使い切る時期や、個別契約を更新する時期によって、新しい原価が表面化するタイミングはずれる。複数モデルをまとめて比較する場合も、Windows Proかnon-Proか、CPUの等級が同じかを揃えなければ、ライセンス料改定の影響と製品構成の差を切り分けられない。

MicrosoftまたはPCメーカーがOEM料の絶対額と適用範囲を明らかにすれば、Windows分の転嫁額を初めて検証できる。それまでは、台湾で示された第3四半期の約5%という価格変化と、他地域の同一機種がどう動くかが現実的な判断材料になる。報道通り部品費が高止まりする間にOS費用も上がったのであれば、2026年後半のPC選びでは価格と搭載量をセットで比べる必要がある。