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Apple、M5世代では設計の大転換を計画、M5 Proチップはサーバーグレードの性能を持つ可能性

Y Kobayashi

2024年12月24日

TSMCの最新パッケージング技術「SoIC-mH」を採用し、CPUとGPUを分離設計するという大きな転換点を迎えるAppleのM5 Proチップ。サーバーグレードの性能と生産効率の向上を目指す新アーキテクチャの詳細が明らかになった。

統合設計からの大転換

これまでAppleのM seriesチップは、CPUとGPUを単一パッケージに統合するSystem-on-Chip(SoC)設計を採用してきた。しかし著名アナリストのMing-Chi Kuo氏によると、M5シリーズではProモデル以上で大きな設計変更が行われる。M5 Pro、Max、Ultraの3モデルでは、TSMCの最新パッケージング技術「SoIC-mH」を採用し、CPUとGPUを物理的に分離する設計へと移行するとのことだ。

新たに採用されるSoIC-mH(System-on-Integrated-Chips-Molding-Horizontal)は、熱性能を大幅に改善するTSMCの2.5Dパッケージング技術だ。これにより、チップの動作時間を延長し、より高い性能を維持することが可能になる。また、製造工程における歩留まりの向上も期待される。

生産スケジュールについては、標準のM5が2025年前半、M5 ProとMaxが2025年後半、M5 Ultraが2026年と段階的な展開が予定されている。全モデルでTSMCの最新プロセスノードN3Pが採用され、試作段階にすでに入っているとされる。

Apple Intelligence基盤としての展開

注目すべきは、M5 Proチップが「Private Cloud Compute (PCC)」と呼ばれるApple Intelligenceサーバーにも採用される点だ。PCCは、最近iPhoneユーザー向けに展開が始まったApple Intelligenceと呼ばれるAI機能群を支えるインフラストラクチャーの中核を担う。Ming-Chi Kuo氏によると、高性能なM5チップの量産開始後、このPCCインフラの構築は大幅に加速するとされる。

新たに採用される2.5Dパッケージング技術によって実現されるサーバーグレードの性能は、特にAI推論処理に適しているという。これは、CPUとGPUを分離することで、それぞれのプロセッサーを推論タスクに最適化できる利点があるためだ。従来のSoC設計では難しかった大規模なAI処理の効率化が、新設計では可能になると期待される。

このインフラ展開は、AppleがクラウドベースのAIサービスを本格的に強化する意図を示している。特に注目すべきは、「Private」という言葉が示すプライバシー重視のアプローチだ。Appleは自社で管理するサーバーインフラを通じて、ユーザーのデータプライバシーを確保しながら、高度なAI機能を提供する戦略を取っている。M5 Proチップの採用は、この戦略を技術面から支える重要な要素となる。


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