Applied Materialsは8月13日、2026年の先端パッケージ売上高が前年比70%超で伸びるとの見通しを示した。5月時点の予想は50%超だったため、わずか3カ月で成長率の下限を20ポイント引き上げたことになる。AI半導体への投資が前工程の微細化に加え、HBM(広帯域メモリ)や複数ダイをつなぐ3D実装へ流れ込み、同社が装置を売れる工程そのものを増やしている。2026年5〜7月期の売上高は過去最高の91億1,500万ドルに達した。
70%超へ、3カ月で20ポイント上方修正
5〜7月期の売上高は前年同期比25%増、前四半期比では約15%増えた。Gary Dickerson CEOは、前四半期からの増収幅が同社史上最大だったと説明している。半導体製造装置を担うSemiconductor Systemsの売上高は70億4,000万ドルで、前年同期の55億6,400万ドルから27%増えた。
8〜10月期については、売上高を102億5,000万ドルを中心に5億ドルの幅、非GAAPベースの1株利益を4.02ドルを中心に0.20ドルの幅で予想する。売上高の中心値は5〜7月期を約12.5%上回る。Applied Materialsは暦年2026年を2026年度第2四半期から2027年度第1四半期までと定義しており、最後の四半期には通常より1週多い14週が含まれる。
先端パッケージは独立した会計セグメントではない。売上高はファウンドリー・ロジックとDRAMの双方に含まれるため、70%超という数字から絶対額は算出できない。それでも5月の50%超から上振れした事実は、AI向け装置投資の重心がチップ上の加工工程から、複数のチップを高密度につなぐ工程へ広がる速さを示している。
HBMの積層が装置需要を後工程へ広げる
HBMは薄く削ったDRAMダイを積み、TSV(シリコン貫通電極)や微細な銅配線で接続する。積層数が増えるほど、表面の平坦さ、接続部の高さ、ダイの反り、微小欠陥が歩留まりを左右する。一つの欠陥で積層全体を失いかねないため、パッケージ工程でもウェハー前工程に近い精度の計測と検査が必要になる。
Applied Materialsが6月に発表した6製品は、この工程を横断する。Opta Quad CMPはハイブリッドボンディングに必要な表面平坦化を担い、Nokota VMax 2 ECDはTSVやマイクロバンプの銅めっきを均一にする。Producer Avila 2 PECVDは、12層や16層のHBMで薄いDRAMダイの反りを抑える。さらにVeritySEM 7APは10nm未満の感度で寸法を測り、SEMVision G7APは光学検査では捉えにくい欠陥を電子線で分類する。
装置の広がりは、70%超という成長率の意味を変える。需要源は一種類のボンディング装置に限られない。成膜から研磨、めっきまで複数の加工装置が要り、計測と欠陥レビューも加わる。Applied Materialsは既存の前工程技術をパッケージへ移し、HBMと3D実装の増産を複数の製品群で取り込もうとしている。
パッケージ装置の売上機会は、処理できる寸法と基板の種類によっても分かれる。VeritySEM 7APはHBMやチップレットで使う厚く反った基板を測定する。SEMVision G7APはシリコン、有機材料、ガラスを対象に欠陥を分類し、すでに主要なメモリ・ロジックメーカーの量産工程に入っている。発表段階の製品群だけで70%超を見込んでいるわけではない。
DRAM構成比26%をどう読むか
Semiconductor Systemsに占めるDRAMの割合は5〜7月期に26%となり、2〜4月期の29%から3ポイント下がった。ただし、同部門全体の売上高は前四半期の59億6,500万ドルから70億4,000万ドルへ18%増えている。構成比の低下はDRAM減収を意味せず、ファウンドリー・ロジックやフラッシュを含む母数がさらに速く膨らんだ結果である。
同社は5月、DRAM売上高が17億ドルで前年同期比18%増えたと説明していた。8月の決算説明会では、暦年後半にDRAMと先端ファウンドリー・ロジック、先端パッケージで力強い増収を見込むとした。HBMでは、DRAMダイを製造する装置と、それを積層して検査する装置が同じ投資サイクルから需要を受ける。
生産能力を増やす際の制約は、顧客工場のクリーンルーム面積だ。5月の決算説明会で同社は、顧客が既存スペースの再配分や増設を進めたことで2026年の納入要求が増えたと説明した。新しいCentura Prime Epiは従来機より設置面積を20%減らしている。装置を小さくすることも、限られた床面積からDRAMの生産量を引き上げる手段になる。
中国28%、依存低下と売上維持の同居
中国は5〜7月期もApplied Materials最大の売上地域で、全社売上高の28%、25億600万ドルを占めた。構成比は前年同期の35%から7ポイント下がったが、売上額は25億4,800万ドルから約1.6%減ったにとどまる。中国事業が急減したというより、中国以外の地域が大きく伸びたために全社に占める割合が低下した。
前四半期との比較では、中国の売上高は20億8,700万ドルから増え、構成比も27%から1ポイント上昇した。台湾は22%、韓国は17%、米国は15%だった。中国への集中は前年より薄れたものの、装置メーカーの成長を左右する規模を保っている。
5月時点でApplied Materialsは、中国事業と世界のICAPS事業を暦年で横ばいから小幅増と見ていた。8月には、中国とICAPSが2026年、2027年とも成長すると見通した。ICAPSはIoT・通信向けと、自動車や電力、センサー向けの成熟・特殊プロセスを指し、AI向け最先端品とは異なる設備投資も含む。
70%超のパッケージ成長を実績へ変えられるかは、まず8〜10月期の売上高が102億5,000万ドル前後に達するかで確かめられる。その先の2027年は、顧客がクリーンルームをどこまで増やし、HBMと3D実装向け装置を継続発注するかが成長速度を決める
