Hanwha Securitiesは8月19日、中国の長鑫存儲技術(CXMT)が2026年の世界DRAMビット供給純増分の11.3%を担うと推計した。それでもCXMTを含む需給充足率はマイナス9.4%であり、需要を満たすには足りない。中国のDRAM生産拡大を世界的な供給過剰の始まりと受け取る見方は、この数字では支えられない。

同社の推計では、2027年のCXMT寄与率は6.9%へ下がる。ただし、これはCXMTの市場シェアや同社自身の成長率ではない。世界全体で新たに増えるDRAMビット供給のうち、どの程度をCXMTが担うかという比率である。SamsungSK hynixMicronの増産が分母を大きくするため、CXMTの相対的な寄与が小さくなるという読み方になる。

見るべきは、中国の増産が需要の伸びと供給制約を上回り、余剰を生むほどかどうかだ。Hanwhaの予測とCXMTの設備投資計画、Micronが挙げる供給制約を重ねると、2026年から2027年のDRAM市場は「増産が不足を和らげる」局面にある。

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純増寄与11.3%と市場シェア6.7%

Hanwhaの推計で、世界DRAMビット供給の成長率は2026年に22.4%、2027年に24.1%となる。この年ごとの純増分に対し、CXMTの寄与率は2026年が11.3%、2027年が6.9%である。比率の分母は世界全体の供給純増であり、CXMTの出荷量そのものでも、売上高に基づく市場シェアでもない。

同じ2026年について、Hanwhaが置くCXMTの世界DRAMビット供給シェアは6.7%である。11.3%6.7%は近い数字に見えるが、前者は年間の増分、後者は供給全体を対象にする。両者を混同すると、CXMTが世界市場の11.3%を占める、あるいは同社の供給が11.3%伸びるという別の結論になってしまう。

CXMTの上場目論見書も、別の分母と期間を示している。Omdiaデータに基づく同資料では、2025年第4四半期のDRAM売上高シェアは7.67%で、CXMTは世界4位、中国1位とされる。これは売上高の四半期シェアであり、2026年のビット供給シェア6.7%との増減を計算できる数字ではない。

同じDRAMを扱う数字でも、測っている対象は異なる。ビット供給、売上高、年間の純増寄与を分けておかなければ、中国勢の生産能力が市場価格や供給量に及ぼす影響を過大にも過小にも読んでしまう。

CXMTあり・なしで変わる不足幅

Hanwhaの需給充足率は、CXMTを含む場合で2026年がマイナス9.4%、2027年がマイナス5.6%となる。負の値は、需要に対して供給が不足する状態を表す。CXMTを除いた試算では2026年がマイナス15.5%、2027年がマイナス12.0%である。

両試算を比べると、CXMTの供給は不足幅を2026年に6.1ポイント、2027年に6.4ポイント縮める。小さな変化ではない。一方で、いずれの年も需給充足率は負のままであり、増産を入れても供給が需要を上回る予測にはなっていない。

CXMTを含む需給充足率 CXMTを除く需給充足率 CXMTによる不足幅の縮小
2026年 マイナス9.4% マイナス15.5% 6.1ポイント
2027年 マイナス5.6% マイナス12.0% 6.4ポイント

Hanwhaは公開要旨で、CXMTの増産後も2027年まで世界DRAMの不足が続き、中国のサーバー向け新規需要が増産分を吸収するとみる。供給が増えることと、その供給が世界市場で余ることは別の出来事である。需給モデルが示すのは、CXMTが不足の大きさを変える一方、需給の向きまでは変えないという点だ。

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ウェハー能力と有効ビットの距離

DRAMの供給は、工場へ投入するウェハー枚数だけでは決まらない。工程世代、ダイの密度、歩留まり、製品構成によって、同じウェハーから市場へ出せる有効ビット数が変わる。CXMTの増設を世界のビット供給へ換算するとき、設備規模と供給量を同じ比率として扱えない理由がここにある。

HBMもこの計算を複雑にする。HBMは積層と選別を伴うため、汎用DRAMより多くのウェハー能力を使う。Micronは2026年3月18日の決算資料で、HBMの高いトレード比率を供給制約の一つに挙げた。クリーンルームと建設のリードタイム、ノード移行でウェハー当たりのビット増加が鈍ることも指摘している。

Micronは同資料で、2026年のDRAMビット需要は供給制約を受け、需給逼迫は2026年を越えて続くと見込む。これは市場参加者であるMicron自身の見通しであり、Hanwhaの需給数値を直接検証するものではない。ただ、設備を増やしても供給がただちに需要を追い越さないという前提は、Hanwhaの予測を読む背景になる。

CXMTの目論見書も、新しい生産ラインの立ち上げには通常複数の四半期が必要で、新工場では資本支出から供給開始まで数年かかり得ると説明する。同資料は2025年後半以降、計算需要と主要メーカーの能力配分を背景にDRAM不足と価格上昇が続いたとしている。量産能力の発表と実際のビット供給の間には、時間と製造条件が横たわる。

中国内需が新しい供給を吸収する

CXMTはDRAMウェハー、チップ、モジュールを供給し、製品をDDR4、LPDDR4XからDDR5、LPDDR5/5Xまで広げている。目論見書にはAlibaba Cloud、ByteDance、Tencentなどとの協力関係が記載される。中国国内にサーバー、スマートフォン、PCの需要先を持つことは、増えた供給が直ちに海外市場へ向かうとは限らないことを意味する。

事業規模もすでに小さくない。CXMTの2025年売上高は617.99億元で、2023年から2025年までの年平均成長率は160.78%だった。TrendForceも、増設と歩留まり改善を背景に、CXMTが2026年のビット出力で世界最大の前年比伸びを記録するとみる。2025年第4四半期のDRAM売上高シェアで世界4位だった同社が、増えた製品をどこへ振り向けるかは、世界の供給量と同じくらい重要になる。

需要の中心もサーバーへ寄っている。目論見書に引用されたOmdiaデータでは、2025年のDRAM需要はサーバーが約50%、モバイルが約28%、PCが約13%、スマートカーが約2%を占める。さらに同資料は、サーバーの比率が2030年に約71%まで上がるとのOmdia予測を載せる。Hanwhaが中国のサーバー向け新規需要を増産分の吸収先とみる背景には、こうした需要構成がある。

CXMTは募集資金として計295億元を計画し、メモリーウェハー量産ラインの技術改造に75億元、DRAM技術高度化に130億元、先端DRAM研究開発に90億元を振り向ける。投資の規模は大きいが、先端ノードでは装置制約があり、新工場は当初DDR5を中心にするとTrendForceは分析する。供給計画を読む際は、投資額よりも量産ラインの立ち上がりと製品構成を見た方が、世界の有効ビット供給を判断しやすい。

2027年にCXMTの純増寄与率が6.9%になるというHanwhaの推計は、中国勢の拡大が止まることを意味しない。主要3社の増産で世界全体の純増が膨らむ中でも、需要に対する供給不足がどこまで縮むかを示す数字である。量産が予定どおり進むか、そして需給充足率が負の領域を抜けるか。その二つが、DRAMの供給余力を測る次の確認点になる。