SK hynixは2026年7月29日、2026年4〜6月期に売上高79兆3187億ウォン、営業利益60兆5426億ウォンを計上した。どちらも過去最高で、営業利益率は76%に達した。それでも市場予想には届かなかった。HBM需要の失速を示す決算ではないが、HBMの年次価格、汎用DRAMの急騰、高付加価値品の出荷ずれが重なり、販売量と製品構成を以前より読みにくくした。会社は要因別の差額を開示しておらず、5%台の未達を一つの理由へ還元することはできない。
過去最高益と5%台の予想未達
Yonhap Infomaxが韓国の証券会社14社から集計した事前予想は、売上高84兆1000億ウォン、営業利益64兆1000億ウォンだった。実績との差はそれぞれ4兆7813億ウォンと3兆5574億ウォンで、予想比では5.7%と5.5%の未達になる。
| 指標 | 2026年4〜6月期 | 事前予想 | 予想との差 | 前四半期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 79兆3187億ウォン | 84兆1000億ウォン | 5.7%下振れ | 51%増 |
| 営業利益 | 60兆5426億ウォン | 64兆1000億ウォン | 5.5%下振れ | 61%増 |
| 営業利益率 | 76% | 75〜77% | 予想範囲内 | 4ポイント上昇 |
表から分かるのは、利益率そのものが崩れたわけではないことだ。売上高の下振れに対して営業利益率は予想レンジ内に収まり、前年同期比では売上高が257%、営業利益が557%増えた。営業利益率も前年の41%から35ポイント上がっている。「痛烈な失敗」と呼ぶには、収益の伸びがあまりに強い。
ただし、5%台の予想差を無視してよいわけでもない。市場はDRAMとNANDの歴史的な値上がりを前提に、SK hynixがその上昇をさらに多く取り込むと見ていた。実際の利益率が想定内だった以上、予想差は主に販売量、製品構成、平均販売価格の組み合わせから生じたと考えるのが自然である。
純利益は93兆9226億ウォンと売上高を上回った。しかし、同社の速報資料は営業外損益の内訳を示していない。6月にはKioxiaへ投資したコンソーシアムが保有株式を売却しており、関連資産の評価もあるため、この純利益をメモリ事業の稼ぐ力と同一視できない。監査前の詳細財務諸表で営業外利益の内訳を確認する必要がある。
汎用DRAMがHBMのウェハー採算を追い越した
HBMはAIアクセラレータの性能を左右する高付加価値メモリだが、2026年前半は汎用DRAMの値上がりが速すぎた。TrendForceによると、汎用DRAMの契約価格は2026年1〜3月期に前四半期比で約93〜98%上昇し、4〜6月期にも58〜63%上がると予測されていた。対するHBMは年次で価格を決める商慣行が中心で、四半期ごとの市況上昇をすぐ反映できない。同社のHBM契約価格は2026年に下がり、DRAM全体の平均販売価格の伸びを抑えたとTrendForceは分析している。
逆転はウェハー1枚当たりの採算にも及んだ。TrendForceの試算では、HBMのウェハー当たり売上高と収益性は2026年1〜3月期に64GB DDR5 RDIMMを下回った。HBMが技術的に陳腐化したのではない。汎用DRAMの価格が、先に決めたHBM価格を追い越したのである。
しかもHBMは、同じビット量を作るために多くの製造能力を使う。TrendForceは、上位3社のDRAMウェハー投入量に占めるHBMの比率が2026年末に22%へ達する一方、ビット供給では9%にとどまると予測する。HBMへ能力を振り向けるほど汎用DRAMが不足し、残った汎用DRAMの価格が上がる。その結果、HBMへ最も深く傾斜した会社ほど、急騰した汎用品を売る機会が少なくなるという逆説が生まれた。
SK hynixの集中度は高い。同社が米証券取引委員会へ提出した目論見書によれば、2026年1〜3月期のHBM世界売上シェアはIDC集計で56.4%だった。決算会見では、一部の高付加価値製品の出荷が2026年後半へずれ、製品構成の変化が全社の平均販売価格に影響したとも説明している。ただし、同社は4〜6月期のHBM売上比率や製品別の価格を開示していない。HBMだけで予想差の全額を説明することはできず、出荷時期とNANDを含む構成差も残る。
長期契約が変える上振れと投資判断
SK hynixは約10社の主要顧客と複数年の長期供給契約を結んだ。決算会見によると、契約期間は通常5年ほどだが、価格の決め方は顧客と製品ごとに異なる。固定価格一本ではなく、市況変動へ対応する複数の方式を協議しているという。
供給不足が想定を超えた四半期には、契約済みの数量をその時点の高値で売り直せず、契約外の販売より値上げが遅れる場合がある。TrendForceは、米クラウド事業者との複数年契約が一部顧客への値上げを制限し、2026年7〜9月期のサーバーDRAM価格上昇は契約を持たない顧客や契約外の追加数量に偏ると予測する。これは長期契約が短期の上振れを抑え得る仕組みを示すが、4〜6月期の予想差へ何兆ウォン寄与したかは分からない。
決算会見で会社が直接説明したのは、一部の高付加価値製品の出荷が2026年後半へずれ、製品構成の変化が全社の平均販売価格に影響したことだ。長期契約による価格差と、出荷時期による数量差を切り分ける資料は示されていない。したがって、今回の未達は契約価格、出荷時期、NANDを含む製品構成が重なった結果として読むのが妥当である。
その一方、複数年契約は数年先の需要を見通しやすくする。メモリ産業は、供給不足を見て工場を増やした頃に需要が冷え、過剰在庫と値崩れへ転じる循環を繰り返してきた。供給数量と期間の見通しを先に固めれば、巨額の設備投資を顧客需要へ結び付けやすくなる。ただし、需要減少や価格下落そのものを防ぐ保証ではない。
SK hynixは2026年の投資額を40兆ウォン台後半と見込み、2027年初めに龍仁第1期クリーンルームを開く計画だ。6月末の現金・現金同等物は88兆ウォン、負債は18兆6000億ウォンで、ネットキャッシュは69兆4000億ウォンまで増えた。この財務余力と契約による需要の見通しを使い、新設備を計画通り立ち上げられるかが長期契約の価値を決める。
HBM4の量産と、既報だったHBM5冷却
製品面ではHBM4の進捗が次の収益を左右する。SK hynixは2026年4〜6月期にHBM4の量産出荷を始め、後半に生産を増やすと発表した。決算会見では歩留まりと品質が成熟したHBM3の水準へ近づき、主要顧客への供給が進んでいると説明したものの、出荷量、顧客名、売上寄与は開示していない。高付加価値品の後ずれが解消したかは、2026年7〜9月期の販売量と全社平均販売価格で判定することになる。
HBM5向けの冷却技術も会見で注目されたが、初公開ではない。SK hynixは5月26日に「iHBM」を発表済みである。電気を通さず熱を伝えるシリコン系のIntegrated Cooling Elementを、HBMのベースダイとAIアクセラレータを結ぶD2D PHY付近へ置き、パッケージ内部に新しい放熱経路を作る。既存構造より熱抵抗を30%下げるというのが同社の説明だ。
iHBMは実績のあるMR-MUF工程を基礎にし、既存のSystem-in-Package設計を大きく変えずに導入できるとされる。だが、30%は会社側の評価値であり、HBM5の量産時期、採用顧客、歩留まりは公表されていない。技術発表が売上へ変わるまでには、顧客認証と量産採算という二つの関門が残る。
2026年後半に確認すべき数字は、HBM4の売上寄与、全社の平均販売価格、高付加価値品の出荷ずれが解消したかどうかである。改善がそろえば製品移行と構成差の仮説を補強するが、4〜6月期の未達額を遡って説明する証拠にはならない。要因別の価格・数量開示、2027年向けHBM4の契約価格、龍仁の新設備が生む供給量まで確認できて初めて、HBM首位の技術力が投資に見合う収益へ変わったかを判断できる。



