Intelは2026年前半、Xeon 6+「Clearwater Forest」でハイブリッドボンディング技術のFoveros Direct 3Dを量産投入した。接合ピッチは9µmで、TSMCが2025年からSoICで提供する6µmより1世代遅れており、TSMCは2029年に4.5µmへ進むロードマップも示している。だが公開情報で製品名が分かる量産出荷品のピッチで揃えると、両社とも9µmで並ぶ。縦方向の遅れは、提供できる数字の差であって、出荷している数字の差としてはまだ現れていない。製品単位でピッチを揃えた比較と、Intelが次世代の3µm世代に量産年を付けていない事実の2点から、この差を見ていく。

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Intelが2026年前半に量産投入した9µmと、TSMCが2025年から提供する6µm

Xeon 6+「Clearwater Forest」は、Intel 18Aを使う製品の中でもFoveros Direct 3Dを量産適用した最初の製品だ。コンピュートタイルとI/Oタイルを、9µmピッチの銅-銅接合でアクティブなベースタイルへ直接つなぐ。この接合には、Intel 18Aの専用変種である18A-PTが必要だったとIntel Foundryは説明している。

Intel Foundryの公式技術ページは、Foveros Direct 3Dの世代をこう記す。第1世代は9µmピッチの銅接合、第2世代は3µmへ縮小する。ピッチが縮むほど、ダイの辺あたりに通せる接続数は増える。

TSMCは2026年のNorth American Technology Symposiumで、SoICの接合ピッチのロードマップを示した。2023年の9µmから2025年に6µmへ進み、2029年に4.5µmへ縮める計画だ。

縦方向の数字だけを見れば、TSMCは2025年の時点で、Intelが2026年に量産へ持ち込んだピッチより一段先にいる。横方向でも差はある。Intel Foundryの技術ページによれば、EMIBは第2世代でバンプピッチを55µmから45µmへ縮めた。縦方向(ハイブリッドボンディング)と横方向(EMIB)は別の軸であり、まず縦方向のピッチを掘る。

EMIB-TとCoWoSのコスト・歩留まり論はすでに広く交わされている。ここでは接合ピッチという縦方向の数字に絞る。

提供できるピッチと出荷しているピッチを分けると、両社は9µmで並ぶ

ここで揃えるのは、製品名が公開されている量産出荷品のピッチだけだ。カタログ上で提供できるピッチとは別の軸になる。同じ単位(µm、隣接パッド中心間の距離)、同じ2026年という時点、ハイブリッドボンディングを使う量産出荷中のロジック製品という同じ母集団で比べる。

AMDのMI300は、TSMCのSoIC第1世代にあたる9µmを使っている。6µmの第2世代への移行は、技術の成熟度を理由に見送ったとSemiAnalysisは報じた。一方のIntelは、Xeon 6+で同じ9µmのFoveros Direct 3D第1世代を使う。公開情報で製品名が確認できる量産出荷品のハイブリッドボンディング接合ピッチは、AMDのMI300もIntelのXeon 6+も同じ9µmである。

Tom's Hardwareも同じ構図を指摘している。ハイブリッドボンディングの能力は採用を追い越しており、TSMCは6µmを提供する一方、最新の開示済み顧客は9µmで出荷している、という総括だ。6µm世代で量産出荷している製品名は、公開情報で確認できる限り見当たらない。これは6µmを使う製品が存在しないという証明にはならない。確認できた範囲での比較だ。

なぜピッチの数字がそのまま技術の世代を表すのか。はんだのマイクロバンプは接合時に潰れることを前提にした寸法が必要で、歴史的に40µm前後から詰めてきたが、最新のメモリ向けでも10µm近くが限界に近い。ハイブリッドボンディングは、マイクロバンプが限界に達する地点から始まる技術だ。研磨して平坦にした銅パッドと周囲の絶縁膜を熱と圧力で直接つなぐため、バンプが潰れる余裕を見込む必要がなく、現在の先端は6µmまで詰まっている。ピッチが縮むほどダイの辺あたりに通せる接続数は増え、積んだダイは別々の部品というより、同じチップの一部のように振る舞えるようになる。

この比較には留保がいる。Intelの9µmはIntel公式ページの記載値だが、AMDの9µmは第三者分析による値で、根拠の強さは同じではない。AMDが6µmへ移行しなかった理由も、AMD自身の説明ではない。SemiAnalysisの分析にすぎない。

TSMCのSoICを使う顧客には、AMDのほかBroadcomが手がけるFujitsu MonakaのCPUも挙がる。TSMCは台湾・嘉義のChiayi AP7を最大級の先端パッケージング拠点として整備中で、2026年の稼働開始を目指す。

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縦方向の3µmには年限がなく、横方向のEMIB-Tには2027年と寸法がある

Intel Foundryの公式ページを確認すると、技術ごとに量産年の記載に差がある。パッケージング一覧ページはEMIBを2017年から、Foveros-S(シリコンインターポーザーを使う2.5D)をアクティブなベースダイで2019年から量産しているとし、Foveros-Rは2027年に量産対応すると記す。だが同じページも、データセンター向け技術ページも、Foveros Direct 3Dの項には量産年を書いていない。第2世代の3µmへの縮小も将来の動作として記されるだけで、いつ量産に入るかは示されない。

Intelは第2世代Foveros Direct 3Dの接合ピッチを3µmと公表しているが量産年を示しておらず、TSMCは4.5µmに2029年という年限を付けている。年限の欠落は、他の技術には書かれているだけに目立つ。

ただし、年限が書かれていないことは計画が存在しないことを意味しない。Intelが学会発表や投資家向け資料で年限を示している可能性は残る。参照したデータセンター向け技術ページは、Clearwater Forestを「2025年に投入」と書く時点の文書でもあり、記載が最新のロードマップをどこまで反映しているかにも留保がつく。

横方向のEMIB-Tには、年限と寸法の両方がついている。ECTC 2025の論文でIntelは45µmピッチを実証し、35µmを近く、25µmを開発中と説明した。対応するパッケージは120×180mm、ブリッジは38本超、ダイは12レチクル超に及び、有機基板とガラスコア基板の両方に対応するという。これとは別に、ECTC 2026でIntelは、大面積インターポーザーを外すことでCoWoS比40%超のパッケージングコスト削減、HBM4eで12Gb/sを主張した。いずれもIntel自身の発表であり、2025年と2026年という別の学会での別の開示を混ぜていない。

2026年7月23日のQ2 FY2026決算説明会で、IntelのCEOであるLip-Bu Tanは、EMIB-Tについて「顧客の関心は依然として非常に高い。今日の主流の選択肢では実現できない、先端AIシリコン向けの能力を提供できる技術だからだ」と述べた。説明会では、2027年の顧客立ち上げを支えるため高量・高品質への移行に集中しており、受注残が増えていると説明されている。

EMIB-Tがこの年限を示せる理由は、仕組みにもある。ブリッジにシリコン貫通電極(TSV)を通すことで、パッケージ底面から直接の低抵抗な電力供給経路を確保できる。Intel FellowのRahul Manepalliは、この経路がHBM4や次世代のHBM4eの統合に効くと説明している。

提供ピッチの優位という反論と、見立てが崩れる2つの条件

この見立てには、有力な反論がある。提供できるピッチが1世代先にあること自体が、受注の場面では優位になるという見方だ。TSMCはSoICの生産能力を拡張中で、TrendForceの推計では2024年の月数千枚規模からほぼ毎年倍増しているという。

Intel側の実行リスクを指摘する声もある。アナリストのBen Pouladian(BEP Research)は、Intelの先端パッケージングを「2027年以降の話であり、実行リスクが大きい。目前の材料ではない」と評価する。調査会社のTrendForceは、EMIB用基板の歩留まりが2026年第2四半期の約30%から9月時点で約45%へ改善したと報じ、サプライチェーン側は2026年第4四半期に50%、2027年第1四半期に60%を目標にしているとされる。

対するIntelは、2026年7月23日のQ2決算説明会で、EMIB-T全体の歩留まりと信頼性は目標を達成していると説明している。ただし両者が見ている対象は同じではない。Intelの説明はEMIB-T全体の歩留まりと信頼性についてのものであり、TrendForceが報じた約45%はEMIB用基板という一工程についての、業界関係者の推定に基づく数字だ。どちらかが誤っているという対立ではなく、見ている範囲と確度が違う。

この見立てが成り立つのは、2026年10月時点で公開情報から製品名が確認できる量産出荷品を比べた範囲に限る。Intelの将来の受注能力を否定するものではない。崩れる条件は2つ考えられる。

1つは、9µmを下回る接合ピッチで量産出荷する製品名が公開情報で確認できた時点だ。TSMC側で6µmを使う製品が明らかになるか、Intelが3µm世代を採用した製品を発表すれば、縦方向の評価は変わる。もう1つは、Intelが第2世代Foveros Direct 3D(3µm)の量産年を公表した時点だ。その年がTSMCの2029年より先か後かで、縦方向の優劣はそこで初めて数字として定まる。Tom's Hardware自身も、次に見る点として、主要なロジック製品が量産で9µmを下回るかを挙げている。

どちらの条件が先に満たされるかで、縦方向の評価は決まる。横方向でIntelが2027年という年限と45µmという寸法を示せているのに対し、縦方向の次世代にはまだその年限がない。その差が消えるかどうかを確かめる場所は、次の製品発表そのものだ。