AppleのiPhone 18 Proでは、ストレージ容量による価格差が前世代から大きく変わった。米国で256GBから512GBへ容量を増やす追加料金は200ドルに据え置かれた一方、512GBから1TBへの追加料金は200ドルから400ドルへ倍増している。背景には、データ保存に使うNANDフラッシュメモリの価格上昇がある。米紙The Wall Street Journal(WSJ)と調査会社TechInsightsの推計によると、容量を増やすための部品費は512GB、1TBともに前世代より上昇した。ただし、購入者が支払う追加料金から推計部品費を差し引くと、512GBと1TBでは正反対の変化が生じている。

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iPhone 18 Proの容量別価格、1TBモデルは前世代から300ドル上昇

米国のApple直販価格は、iPhone 18 Proの256GBモデルが1,199ドル、512GBが1,399ドル、1TBが1,799ドル、2TBが2,399ドルとなっている。いずれも購入時に通信事業者との回線契約を選択せず、下取りも利用しない場合の税別価格だ。一方、前世代のiPhone 17 Proは、Appleの米国向け発売発表によると256GBモデルが1,099ドルだった。これにWSJが示した容量別の追加料金を加えると、512GBは1,299ドル、1TBは1,499ドルに相当する。

同じ容量で比較すると、iPhone 18 Proは256GBと512GBがそれぞれ100ドル、1TBが300ドル高くなった。ただし、256GBから512GBへ容量を増やす追加料金は両世代とも200ドルで変わらない。これに対し、256GBから1TBへの追加料金は400ドルから600ドルに上昇した。また、iPhone 18 Proでは新たに2TBモデルが追加されている。前世代で2TBを選べたのはiPhone 17 Pro Maxのみで、iPhone 17 Proの最大容量は1TBだった。

WSJが公開した比較図表には、WSJとTechInsightsによる容量別の追加部品費の推計が掲載されている。各モデルの256GBを基準に、容量を増やすための追加料金と推計部品費を比較すると、次のようになる。iPhone 18 Proの追加料金については、米Apple直販の表示価格とも一致している。

米国モデル・容量 256GBからの追加料金 推計追加部品費 追加料金と推計部品費の差
iPhone 17 Pro・512GB 200ドル 15ドル 185ドル
iPhone 17 Pro・1TB 400ドル 42ドル 358ドル
iPhone 18 Pro・512GB 200ドル 66ドル 134ドル
iPhone 18 Pro・1TB 600ドル 192ドル 408ドル
iPhone 18 Pro・2TB 1,200ドル 450ドル 750ドル

512GBモデルでは、256GBから容量を増やすための推計部品費が15ドルから66ドルへ51ドル上昇したにもかかわらず、追加料金は200ドルのままだ。その結果、追加料金から推計部品費を差し引いた額は185ドルから134ドルへ51ドル減少した。一方、1TBモデルでは推計追加部品費が42ドルから192ドルへ150ドル増えたが、追加料金も400ドルから600ドルへ200ドル上昇している。このため、差し引き額は358ドルから408ドルへ50ドル増加した。

つまり、Appleは512GBモデルでは部品費の上昇を追加料金に反映させず、1TBモデルでは部品費の増加を上回る値上げを行った計算になる。ただし、ここで比較しているのは容量を増やすための追加料金と推計部品費に限られ、iPhone全体の製造原価やAppleの利益率を示すものではない。

512GBから1TBへの追加料金は200ドルから400ドルへ倍増

購入者にとって特に大きな変化は、512GBと1TBの価格差だ。iPhone 17 Proでは512GBから1TBへの容量アップに200ドルかかったが、iPhone 18 Proでは400ドルが必要になる。これに対し、同じ容量差に相当する推計追加部品費は、前世代の27ドルから126ドルへ99ドル増加した。

この数値は、それぞれの世代で1TBモデルの追加料金と推計部品費から、512GBモデルの値を差し引いたものだ。iPhone 17 Proでは追加料金200ドルに対して推計部品費が27ドルで、差し引き額は173ドルだった。iPhone 18 Proでは追加料金400ドルに対して推計部品費が126ドルとなり、差し引き額は274ドルに増えている。部品費の増加が99ドルだったのに対し、購入者が支払う追加料金は200ドル増えたため、差し引き額は101ドル拡大した。

一方、256GBから1TBへ直接容量を増やす場合、追加料金を推計部品費で割った倍率は、前世代の約9.5倍(400ドル÷42ドル)から約3.1倍(600ドル÷192ドル)に低下している。これは、推計部品費の上昇率が追加料金の上昇率を大きく上回ったためだ。ただし、金額では追加料金の増加幅が部品費の増加幅を上回っているため、差し引き額は増加している。倍率の低下と差し引き額の増加は矛盾せず、異なる観点から見た結果である。

日本でも同様の価格設定が確認できる。Apple直販のSIMフリー版iPhone 18 Proは、256GBが219,800円、512GBが254,800円、1TBが324,800円、2TBが429,800円で、いずれも税込価格だ。隣接する容量への追加料金は順に35,000円、70,000円、105,000円となる。米国でも200ドル、400ドル、600ドルと同じ比率になっており、両国とも最初の容量アップを基準にすると、次の段階では2倍、最上位への変更では3倍の追加料金が設定されている。

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AIサーバー向けSSD需要の拡大がNAND市場に影響

ストレージの価格上昇を考えるうえで重要なのが、NANDフラッシュメモリの需給動向だ。NANDは電源を切ってもデータを保持できる不揮発性メモリで、スマートフォンの内蔵ストレージやSSDに広く使われている。一方、AIの処理中にデータを一時的に保持するDRAMとは役割が異なる。企業向けSSDとスマートフォン向けストレージも別の製品だが、いずれもNANDを使用するため、生産能力の配分を通じて互いの需給に影響を及ぼす可能性がある。

TechInsightsが2026年9月10日に公表したモバイル向けメモリの価格追跡によると、256GBのTLC UFS NANDの価格は6月の約68ドルから9月には約82ドルへ上昇した。2027年3月には約92ドルに達すると予測している。同社が追跡する96GbのLPDDR5 DRAMも、6月の約140ドルから9月には約165ドルに値上がりした。ただし、NANDの256GBはバイト単位、DRAMの96Gbはビット単位であり、用途も異なるため、単純に価格を比較することはできない。また、これらは市場の価格指標であって、iPhoneに搭載された部品の仕様やAppleの実際の調達価格を示すものではない。

NANDの価格動向も、用途によって一様ではない。TrendForceが10月28日に公表した調査要約では、需要が旺盛な企業向けSSDの契約価格は上昇が見込まれる一方、スマートフォンやPC向けでは需要が弱く、在庫消化の遅れから価格交渉が停滞していると指摘している。AIサーバー向けSSDの需要が拡大しても、その価格上昇がスマートフォン向けNANDに同じ速度で波及するとは限らない。

供給能力を増やすにも時間が必要だ。キオクシアが2026年8月に発表した北上工場の第3製造棟は、土地の整備から着手する計画で、稼働目標は2029年度中となっている。設備投資の詳細は市場動向を踏まえて決定し、投資には政府の支援を前提としている。こうした計画からも、需要が増加してから新たな生産設備が稼働するまでには数年単位の時間差があることが分かる。

Appleの製造関連の購入義務は327億ドル増加

Appleの調達動向にも変化が見られる。同社が2026年11月3日に提出した年次報告書(Form 10-K)によると、9月26日時点の製造関連の購入義務は897億ドルに達した。6月27日時点の570億ドルから327億ドル増加している。また、今後12カ月以内に支払う予定の金額も、前四半期の四半期報告書(Form 10-Q)に記載された562億ドルから827億ドルへ増加した。

製造関連の購入義務は、Appleが将来の部品購入や製造委託などについて契約上支払う予定の金額を示すものだ。ただし、複数の部品や製造工程に関する契約が含まれるため、この増加分がNANDの調達によるものかどうかは判断できない。調達単価の上昇と購入数量の増加を区別することもできず、購入義務の増加をそのままメモリ価格の上昇と結び付けることは適切ではない。

また、容量別の価格設定がAppleの収益に与える影響を評価するには、実際の調達価格に加え、購入者が256GB、512GB、1TB、2TBの各モデルをどの程度選んでいるかを把握する必要がある。今回の推計から分かるのは、容量を増やすための部品費と販売価格の関係が、前世代から変化したという点までだ。

今後の注目点は、モバイル向けNANDの契約価格が変動した際に、Appleが容量別の追加料金をどう調整するかだ。特に、iPhone 18 Proで400ドルに拡大した512GBと1TBの価格差が維持されるのか、それとも縮小・拡大するのかが重要になる。部品の取引価格とApple直販の容量別価格を継続して比較することで、メモリ市場の変化が購入者の負担にどの程度反映されるのかを見極められるだろう。