Samsung Electronicsが韓国・華城キャンパスの汎用DRAM工程を組み替えると報じられた。ソウル経済新聞が7月27日、華城第1団地(H1)への設備集約とライン増設を伝えた。業界関係者は、2026年末の生産能力が年初より約15%増えると見込む。AIサーバー向けメモリを優先する業界の生産配分が、スマートフォンやPCに使う汎用品の不足を長引かせるなか、新工場を一から建てずに供給を増やす試みだ。

同じ時期、Appleは中国のメモリメーカーとの取引を検討していると報じられている。ただし、Samsungは華城の再編計画を公表しておらず、15%という数字も業界関係者の見通しである。増産分を誰へ回すかは分からず、Appleをつなぎ止めるために始めたとの説明もない。今回の再編は、汎用DRAMの工程間物流を短縮し、既存設備で生産能力を早く増やす取り組みだと報じられている。

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華城H1へ集めるエンドファブ

ソウル経済新聞によると、Samsungのメモリ製造技術センターは2026年7月にタスクフォースを設け、華城H1で汎用DRAM用のエンドファブ構築に着手した。華城第2団地(H2)と天安キャンパスに分散するエンドファブ設備をH1へ移し、空いた場所には生産ラインを増設する計画だという。

エンドファブは、メインファブで作ったトランジスタなどのメモリ素子を接続する、ウェーハ前工程の最終段階に当たる。華城ではメインファブを中心に設備を増やしてきたため、工程終盤の一部を天安で処理していた。ウェーハを拠点間で運ぶ時間がかかり、汎用DRAMの供給を増やす際の制約になっていた。

H1では旧世代のメモリラインを撤去した後に、使われていないクリーンルームが残っている。Samsungはそこを新たなエンドファブ拠点に使う方針だと同紙は伝えた。新しい建屋を建設する場合に比べ、投資額と工期を抑えながら工程を近接させられる。ウェーハをまとめて後工程ラインへ送れるため、輸送効率も上がるという。

15%はSamsungが公式に掲げた増産目標ではない。同紙が取材した業界関係者は、2026年末の汎用DRAM生産能力が年初より約15%増えると見込んだ。対象は華城の工程再編による汎用品の能力であり、Samsung全体のDRAM生産量が15%増えるという意味ではない。

サーバー優先の配分が汎用品を細らせた

Samsungの2026年第1四半期報告書は、メモリ各社がサーバー向けの生産を優先するため、供給不足が続く可能性が高いと説明している。AIインフラ投資でサーバーDRAMとSSDの需要が強まり、スマートフォンとPCではメモリ価格の上昇が完成品需要を押し下げるとの見方も示した。華城の再編は、サーバー優先で減った汎用品の供給を、既存設備の効率化によって補う動きと捉えられる。

Samsungは同四半期の世界DRAM市場における売上高シェアを38.4%と推定した。同社が示した2025年通年の34.0%を上回り、メモリ事業の四半期売上高と営業利益はいずれも過去最高を記録した。限られた供給のなかでAI向けの高付加価値製品を増やし、市場全体の値上がりも収益を押し上げたと同社は説明している。

一方、ソウル経済新聞によると、汎用DRAMの代表例であるDDR4の価格は2026年上半期だけで80%以上上昇した。収益性の高いサーバー製品へウェーハを振り向けるほど、モバイルやPCのメーカーは調達価格と供給量の両面で圧力を受ける。工程を集約すれば、新工場の完成を待たず、短い期間で汎用品の能力を積み増せる。

ただし、生産能力は実際の出荷量と同じではない。設備の移設と新ラインの立ち上げが年末までに進み、増えた能力が汎用品の生産へ割り当てられて初めて、顧客が受け取る数量に反映される。今回の報道には、月間ウェーハ投入量や顧客別の配分、出荷開始日は示されていない。

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Appleの中国調達は決定前の交渉

Apple自身もメモリの供給と価格を経営上のリスクとして認めている。2026年度第2四半期のForm 10-Qでは、DRAMとNANDを含む部品の業界的な供給制約とコスト上昇が、売上高や粗利益率を押し下げる要因になり得ると記した。特定の調達先は明らかにしていないが、メモリ不足が同社の採算と製品価格に直結することは公式文書から確認できる。

Bloombergは7月1日、Appleが中国で販売する製品に使うメモリについて、ChangXin Memory Technologies(CXMT)およびYangtze Memory Technologies(YMTC)と交渉していると報じた。協議は続いており、契約は決まっていない。中国メーカーが候補に加われば、Appleは供給源を増やせるほか、既存のメモリメーカーとの価格交渉でも選択肢を持てる。

CXMTは米国防総省が6月8日に公表した1260Hリストに入り、「中国軍事企業」に指定されている。ただし、1260Hは企業を指定する制度であり、その指定だけをもって民間企業による購入が全面的に禁じられるわけではない。国防総省のProject CLEARが説明する関連規制も、国防総省との契約やロビー活動の関係を対象としている。Appleにとっては政治と将来の規制を巡る不確実性が残るが、現状を「米規制で中国製メモリを買えない」とする説明は正確ではない。

Samsungの華城再編とAppleの中国調達交渉は、メモリ供給が逼迫する同じ市場環境で並行している。前者は汎用DRAMを早く増やす生産側の対応で、後者は調達先を広げようとする買い手側の対応だ。Apple向けの数量や契約条件が示されていない以上、15%の能力増をApple流出防止策と断定することはできない。

年末の15%を出荷へ変えられるか

Samsungは2026年後半も、DRAMとNANDでAI製品を中心に販売する方針を掲げている。一方、華城の工程再編は汎用品の需要に応える。今回の報道どおり能力を増やすなら、AI向けの収益機会を保ちながら、モバイルとPC向けの不足を既存設備で緩和する運用になる。

判断の分かれ目は三つある。H1への設備移設とライン増設が年末までに完了するか、年初比約15%という能力増が実現するか、増えた能力が汎用品の出荷へ回るかである。Appleについては、CXMTやYMTCとの交渉が契約へ進むかを切り分けて見る必要がある。

華城で増えるのは、いまのところ生産能力の見込みである。2026年末に約15%という水準へ届き、その増分が汎用DRAMの実出荷に結びついたかが、再編の効果を測る基準になる。Appleの調達先への影響は、顧客別の配分や契約が明らかになるまで別に判断する必要がある。