Sandiskは2026年10月29日、10月2日を期末とする2027会計年度第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期の約4.8倍となる110億3100万ドル、GAAP純利益は81億ドルに達し、粗利率は前年同期の29.8%から85.0%へ急上昇した。利益がここまで拡大した主な要因は、出荷数量の増加よりも販売価格の上昇にあると考えられる。売上高は前年同期から87億2300万ドル増えたにもかかわらず、売上原価の増加はわずか3200万ドルにとどまったためだ。今後の焦点は、こうした価格上昇に支えられた高収益がどこまで続くかにある。

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売上高は約4.8倍、売上原価はわずか2%増

Sandiskの発表によると、2027会計年度第1四半期の売上高は前四半期比23%増、前年同期比378%増の110億3100万ドルだった。営業利益は87億8000万ドル、GAAPベースの希薄化後1株利益(EPS)は52.60ドル、非GAAPベースでは49.51ドルとなった。同社は続く第2四半期について、売上高122億〜126億ドルを見込んでいる。また、1株を8株に分割する株式分割を発表し、分割後の株式による取引は11月20日に始まる見通しだ。当四半期には約320万株、総額50億ドルの自社株買いも実施した。

今回の決算で特に注目すべきなのは、売上高と売上原価の増加ペースが大きく異なる点だ。粗利率は、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益が、売上高に占める割合を表す。売上原価がほとんど変わらないまま売上高が増えれば、その増収分の大半が売上総利益として残る。Sandiskの損益計算書を見ると、売上高は前年同期の23億800万ドルから110億3100万ドルへ急増した一方、売上原価は16億2100万ドルから16億5300万ドルへ、約2%しか増えていない。

売上高は基本的に「出荷数量×販売単価」、売上原価は「出荷数量×単位当たりの原価」で決まる。前年同期には売上原価が売上高の70.2%を占めていたが、今期は15.0%まで低下した。仮に出荷数量と単位当たりの原価が1年前と変わっていなければ、販売単価は約4.8倍になった計算だ。ただし、実際には出荷数量や製造原価も変化するため、この倍率をそのまま販売価格の上昇率と解釈することはできない。それでも、売上原価がほぼ横ばいのまま売上高が5倍近くに膨らんだことが、利益急増の大きな要因であるのは確かだ。

実際、前年同期との差額を計算すると、売上高は87億2300万ドル増加したのに対し、売上原価の増加は3200万ドルにとどまる。つまり、増収分の99.6%が売上総利益の増加につながったことになる。売上総利益は前年同期の6億8700万ドルから93億7800万ドルへ、86億9100万ドル増加した。この結果は、販売価格の上昇によって利益が大幅に拡大したという見方を強く裏付ける。ただし、単位当たりの製造原価の低下、在庫原価が計上される時期の違い、販売する製品構成の変化などによっても、売上原価の増加が抑えられる可能性はある。

出荷数量の増加も寄与したのか、前四半期との比較から検証

価格上昇が利益急増の主因という見方に対しては、出荷数量の増加も大きく寄与したのではないかという反論が考えられる。実際、前四半期との比較では、その可能性を示す数字がある。売上総利益の調整表から計算した2026会計年度第4四半期の売上原価は13億8300万ドルで、今期の16億5300万ドルは19.5%増にあたる。同期間の売上高の増加率は23%であり、売上原価もそれに近いペースで増えていた。さらに、データセンター向け売上高は29億7700万ドルから48億200万ドルへ61%伸び、全体の43.5%を占めるまでになった。需要拡大に伴う出荷数量の増加が、今期の増収に寄与した可能性は十分にある。

ただし、Sandiskは前四半期の決算発表で、増収要因の約3分の1が出荷数量の増加、約3分の2が価格の上昇によるものだと説明していた。今回の発表では同様の内訳が示されておらず、出荷ビット数や平均販売価格も公表されていない。そのため、今期の増収を価格と数量に正確に分解することはできない。

それでも、前年同期比で見れば、価格が利益拡大の主因だったという見方は維持できる。仮に、出荷数量の増加だけで87億2300万ドルの増収の過半を説明しようとすると、前年同期の販売単価を基準にした計算では、出荷数量が約2.9倍になる必要がある。その場合、売上原価の増加が約2%にとどまるためには、単位当たりの原価が前年同期の約3分の1まで低下していなければならない。しかし、Sandiskはそうした大幅な数量増加や単位原価の低下を裏付けるデータを開示していない。したがって、現時点では価格上昇を中心に増益を説明する方が妥当と考えられる。

もっとも、直近の四半期に限れば、数量の寄与が相対的に大きくなっている可能性は認める必要がある。前年同期から今期までの売上総利益の増加額86億9100万ドルのうち、前四半期までに68億9500万ドル、約79%が積み上がっていた。今期の前四半期比の増加額は17億9600万ドルで、全体の約21%にあたる。Sandiskが価格上昇を増収の主因と説明していた時期に、利益拡大の大部分はすでに起きていたことになる。つまり、価格主導という見方は主として前年同期との比較に基づくものであり、今期単独の価格と数量の寄与率まで断定できるわけではない。

事業分野による売上動向の違いも顕著だ。コンシューマー向け売上高は3億9700万ドルと前年同期比39%減少し、売上構成比も28.2%から3.6%へ大幅に縮小した。一方、エッジ向け売上高は58億3200万ドルに達し、全体の52.9%を占める。こうした事業分野ごとの差が生じた具体的な要因について、同社は十分な内訳を開示していない。

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粗利率84.5%が高収益の持続性を見極める目安に

Sandiskが示した第2四半期の売上高見通しは122億〜126億ドルで、今期から10.6〜14.2%の増収を見込んでいる。前四半期比23%増だった今期と比べれば、売上高の伸びは鈍化する見通しだ。一方、非GAAP粗利率の予想は84.5〜85.5%で、今期の85.1%とほぼ同じ高水準を維持する前提となっている。この売上高と粗利率の見通しをそれぞれ下限同士、上限同士で組み合わせると、非GAAPベースの売上総利益は約103億〜108億ドルとなり、今期の93億8400万ドルから約10〜15%増える計算だ。

価格上昇に支えられた高収益が続くという見立てを検証するうえで、注目すべき条件は2つある。次の決算で非GAAP粗利率が会社予想の下限である84.5%を下回ること、または売上高が予想下限の122億ドルに届かないことだ。いずれかが起きれば、高収益の持続性に対する見方を再検討する必要がある。特に、売上原価がほぼ一定のまま販売価格が下落すれば、粗利率は直接的に押し下げられるため、その変化は価格の持続性を判断する重要な手がかりとなる。ただし、粗利率には製品構成や製造原価も影響するため、低下した場合に必ず価格下落が原因とは限らない。

販売価格がどの程度維持されるかを考えるうえでは、長期契約の存在も重要になる。Sandiskは長期契約を中心とする「NBM」(新しい事業モデル)に関連したリスクを開示しており、顧客からの前受金などを含む非流動の契約負債は、7月3日時点の3億9300万ドルから7億5200万ドルへ増加した。仮に長期契約によって販売価格や供給数量があらかじめ定められているなら、市場価格が下落しても粗利率がすぐには悪化しない可能性がある。ただし、今回の発表では契約期間や価格条件の詳細が示されておらず、長期契約がどの程度利益を下支えするかは判断できない。

日本の半導体産業との関係では、製造パートナーであるキオクシアの存在も見逃せない。Sandiskは決算資料のリスク要因として、キオクシアとの戦略的関係への依存を挙げている。両社が共同運営する製造合弁事業「Flash Ventures」に対する貸付金と投資の合計額は、7月3日時点の6億7800万ドルから8億2700万ドルへ増加した。Sandiskの収益動向は、共同生産体制を通じて日本のNANDフラッシュメモリー産業とも深く関わっている。

利益は現金として回収できているのか

高い利益率が続くかに加え、計上した利益がどの程度現金として回収されているかも確認する必要がある。今期の営業キャッシュフローは63億6300万ドルで、GAAP純利益81億ドルに対して78.5%にとどまった。純利益に含まれる非現金の株式評価益5億1300万ドルを除いて計算しても、営業キャッシュフローは調整後利益の約84%となる。また、売掛金は前四半期から18億7700万ドル増加しており、売上高の急拡大に現金回収が追いついているかを見極める必要がある。

売掛金残高は65億8500万ドルに達した。四半期を13週(91日)として売上高に対する比率から回収日数を概算すると、約54日分となり、7月3日時点の約48日分から長くなっている。売上高と利益が急増する一方、現金化には以前より時間がかかっている計算だ。こうした変化が一時的なものなのか、取引条件や顧客構成の変化を反映しているのかは、今後の決算で確認する必要がある。

Sandiskの今回の決算は、売上高の急増以上に、売上原価がほとんど増えないまま粗利率が85%に達した点が際立っている。前年同期比で見れば、販売価格の上昇が利益拡大の主因だったという見方には相応の根拠がある。ただし、直近では出荷数量の寄与も無視できず、今後も同じ収益構造が続くとは限らない。次の決算で売上高が122億ドルに達し、非GAAP粗利率が84.5%以上を維持できるかが、価格上昇に支えられた高収益の持続性を検証する最初の重要な判断材料となる。