SK hynixは2026年10月28日、第3四半期決算を発表する。日本時間の午前9時前に決算リリースを公開し、同9時から説明会を開催する予定だ。Newsisが報じたFnGuideの市場予想によると、営業利益は76兆9640億ウォン、営業利益率は78%台に達する見通しだ。ただし、これらは市場予想であり、会社が発表した実績や業績見通しではない。今回の決算では、AI向けの広帯域メモリ「HBM4」の増産がどこまで進んだのかに加え、長期供給契約の拡大や巨額の利益を活用した設備投資、株主還元の方針が注目される。
営業利益率78%台の予想、前四半期からさらに改善か
Newsisが10月23日に掲載したFnGuideの集計によると、SK hynixの第3四半期の連結売上高は98兆2257億ウォン、営業利益は76兆9640億ウォンと予想されている。これを同社が7月29日に公表した第2四半期の連結実績と比較すると、売上高は23.8%増、営業利益は27.1%増となる計算だ。いずれもK-IFRSに基づく連結業績で、対象期間は暦年四半期、通貨は韓国ウォンで統一されている。
| 指標 | 第2四半期の会社公表実績 | 第3四半期の市場予想 | 前四半期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(兆ウォン) | 79.3187 | 98.2257 | +23.8% |
| 営業利益(兆ウォン) | 60.5426 | 76.9640 | +27.1% |
| 営業利益率 | 76.3% | 78.4% | 約+2.0ポイント |
第3四半期の予想営業利益率は、営業利益76.9640兆ウォンを売上高98.2257兆ウォンで割り、100を掛けた78.354239...%を小数第1位に丸めた78.4%となる。第2四半期も同じ方法で計算すると76.3%となり、利益率は約2.0ポイント改善する見込みだ。売上高と営業利益の増減率は、それぞれ「第3四半期予想÷第2四半期実績−1」に100を掛け、小数第1位に丸めている。なお、SK hynixが公表した第2四半期の営業利益率は整数の76%だが、改善幅の計算には丸める前の数値を使用している。
比較に用いた第2四半期の数値は、SK hynixが公表した暫定決算に基づいており、監査・レビューによって変更される可能性がある。一方、第3四半期の数値はあくまで市場予想であり、確定した業績ではない。
市場予想にも幅がある。Chosun Bizの10月21日の報道では、DS投資証券が営業利益70兆1000億ウォン、Meritz証券が80兆1000億ウォンと予想しており、両社の見通しには10兆ウォンの開きがあった。集計時点が異なるため、これらをFnGuideのコンセンサスの内訳とみなすことはできないが、市場が極めて高い収益性を期待していることは共通している。10月28日の決算では、実際の利益がこうした期待にどこまで応えるかが最初の注目点となる。
HBM4は出荷を開始したが、増産の進捗は不透明
SK hynixは7月の決算発表で、次世代広帯域メモリ「HBM4」の量産出荷を第2四半期に開始し、下半期に生産を拡大すると説明していた。また、次世代製品のHBM4Eについても、上半期中にサンプル出荷を完了したと明らかにしている。ただし、量産品の出荷を開始したことと、当初の計画どおりに出荷数量を増やせたかは別の問題だ。
この点について、Chosun Bizは10月21日、業界関係者への独自取材を基に、HBM4の出荷量が第2四半期に続いて第3四半期も当初の期待を下回ったと報じた。背景として、NVIDIAの次世代AIプラットフォーム「Rubin」のスケジュールが一部遅れたことや、量産品の性能調整に想定以上の時間を要したことを挙げている。ただし、これは業界取材に基づく報道であり、SK hynixが公式に発表した出荷実績や遅延理由ではない。
したがって、会社がHBM4の量産出荷開始を発表したことだけを根拠に、下半期の増産も計画どおり進んでいるとは判断できない。10月28日の決算では、出荷開始時期の再確認よりも、実際に出荷数量をどこまで増やせたのか、今後の生産拡大にどのような見通しを持っているのかが重要になる。
一方、営業利益率が78%台に達するとの予想を、HBM4の成長だけで説明するのも適切ではない。SK hynixは第2四半期について、DRAMとNANDの両方で価格が前四半期から大きく上昇したほか、HBM、AIサーバー向けDRAM、企業向けSSDの販売が拡大したと説明している。製品別の利益貢献額は公表されていないため、全社的な収益性の改善とHBM4の増産状況は分けて評価する必要がある。
約10社との長期供給契約、設備投資の拡大も進む
SK hynixは7月時点で、主要な戦略パートナーを含む約10社と長期供給契約を締結し、さらに追加契約に向けた協議を進めていた。同社はこれを、供給体制と事業運営の安定性を高める取り組みと位置づけている。長期契約の拡大は将来の需要を見通すうえで重要な材料となるが、すべての契約がHBM4を対象としているわけではなく、対象製品の詳細も明らかになっていない。
契約年数や製品別の供給数量に加え、価格を固定するのか、価格上限を設定するのかといった条件も公表されていない。顧客による前払いや購入義務の有無についても同様だ。このため、長期契約の締結だけを根拠に、メモリ価格の上昇が今後も続くと判断したり、顧客からの前払いによって増産資金が確保されていると考えたりすることはできない。
生産体制の拡充はHBMだけでなく、NAND型フラッシュメモリでも進んでいる。7月の発表によると、321層NANDはすでに同社のNAND総生産量に占める割合が最も大きい製品となっており、年末までに韓国内のNAND生産能力の約50%を占める計画だった。ただし、この50%という目標は韓国内の生産能力を基準としたものであり、Solidigmを含む世界全体の生産能力を指すものではない。
さらに、SK hynixはM15X工場の量産開始予定を前倒しするとともに、龍仁の半導体クラスターでは2027年初めに第1期クリーンルームを稼働させ、その後段階的に生産能力を拡大する方針を示している。クリーンルームの稼働開始は、生産能力が直ちに全面的に立ち上がることを意味しない。また、先端パッケージング施設「P&T7」、NAND生産拠点「M17」、新たな半導体クラスターについても、需要動向と投資効率を見極めながら段階的に整備するとしている。長期契約によって将来の需要を把握しやすくなっても、実際の供給拡大には設備の整備と継続的な資金投入が欠かせない。
Solidigmの追加投資と株主還元、巨額の利益をどう配分するか
SK hynixは10月23日の公式説明で、傘下のSolidigmについて、上場前の資金調達(pre-IPO)と新規株式公開(IPO)の検討を中止すると明らかにした。一方で、既存設備の生産能力だけでは増加する需要に十分対応できず、米国で追加の生産設備が必要になるとの認識も示している。資金調達の選択肢を一つ取り下げたものの、設備投資の必要性そのものがなくなったわけではない。投資時期、規模、資金調達方法については引き続き検討するとしており、具体的な工場建設予算を承認したとの発表はない。
SK hynixの財務基盤は潤沢だ。2026年6月末時点の現金・現金同等物は88兆ウォン、ネットキャッシュは69兆4000億ウォンに達していた。ただし、これらは6月末時点の残高であり、10月現在の余剰資金やSolidigm向けに確保された投資予算を示すものではない。
その後、同社は8月19日に40兆ウォン相当の自社株取得と全数消却を承認した。取得は8月20日から約3カ月かけて進める計画で、買い戻した株式はすべて消却する方針だ。ただし、この40兆ウォンを現在も未実行の支出とみなしたり、6月末の現金残高から単純に差し引いて投資余力を算出したりすることはできない。現金残高の基準日と自社株取得の実行時期が異なるためだ。
株主還元の目標についても、営業利益とは異なる指標を基準としている。SK hynixは、2025〜2027年の累積フリーキャッシュフローに対する総還元目標を、従来の「50%以内」から「50%超」へ引き上げることを目指している。これは営業利益の半分を株主に分配するという約束ではなく、事業活動と設備投資を経て残るフリーキャッシュフローを基準に、自社株買い・消却と配当を組み合わせて還元する方針だ。
今回の決算を評価するうえでは、市場が予想する営業利益、会社が保有する現金、今後の株主還元目標を混同しないことが重要になる。主要な数値を整理すると、以下のようになる。
| 指標 | 対象期間・時点 | 状態 | 意味 | 出所 |
|---|---|---|---|---|
| 営業利益76兆9640億ウォン | 2026年第3四半期 | 連結業績の市場予想 | 四半期の営業利益 | Newsis掲載のFnGuide集計 |
| ネットキャッシュ69兆4000億ウォン | 2026年6月末 | 会社公表の期末残高 | 現金から有利子負債を差し引いた資金の状況 | SK hynixの第2四半期決算 |
| 累積フリーキャッシュフローの50%超 | 2025〜2027年 | 会社が目指す総還元目標 | 株主への資金配分方針 | SK hynixの8月19日発表 |
これら3つの指標は、対象期間も意味も異なる。営業利益は会計上の収益性を表し、ネットキャッシュは特定時点の財務状況を示す。一方、フリーキャッシュフローに基づく還元目標は将来の資金配分方針であり、すでに支払われた金額ではない。したがって、これらを単純に足し引きして現在の投資余力を求めることはできない。
SK hynixは8月の発表で、追加還元の規模と実施について、キャッシュフローや市場環境、分配可能利益などを考慮し、取締役会の承認を経て第3四半期決算時に発表する予定だとしていた。10月28日の決算では、この追加還元の具体的な条件に加え、HBM4の増産状況とSolidigmを含む設備投資方針が焦点となる。営業利益率78%台という市場の高い期待に応えられるかだけでなく、そこで生み出した利益を次の供給拡大と株主還元へどう配分するのかが、SK hynixの今後を評価する重要な判断材料となる。



