テクノロジーと科学の最新の話題を毎日配信中!!

AI需要が牽引、2024年半導体市場は18%の成長を記録

Y Kobayashi

2025年2月4日

2024年、人工知能(AI)需要の急増を背景に、世界の半導体市場は力強い成長を遂げた。売上高は前年比18.1%増の6,260億ドルに達し、データセンターへの投資が市場拡大を大きく牽引した。2025年には7,050億ドル規模への成長が見込まれる。

スポンサーリンク

データセンター向け半導体が市場成長の原動力に

市場調査会社Gartnerの速報値によると、2024年の世界半導体売上高は6,260億ドルとなり、2023年の5,299億6,400万ドルから18.1%と大幅な増加を記録した。この成長を牽引したのは、データセンターで使用されるGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)やAIプロセッサである。

Gartnerのアナリスト、George Brocklehurst氏は、「AIおよびGenerative AI(GenAI:生成AI)のワークロードに対する需要の高まりが、データセンターを2024年において半導体にとってスマートフォンに次ぐ2番目に大きな市場へと押し上げた」と分析する。データセンター向け半導体売上高は、2023年の648億ドルから2024年には1,120億ドルへと大幅な増加を記録した。

ベンダーランキングに変動、Samsungが首位を奪還

市場全体の好調な成長を受け、半導体ベンダーのランキングにも変動が見られた。上位25社のうち11社が2桁成長を達成し、売上高が減少したのはわずか8社にとどまる。

特に注目されるのは、Samsung ElectronicsがIntelから首位を奪還したことである。メモリ価格の力強い回復に後押しされ、Samsung Electronicsの2024年の売上高は665億2,400万ドルに達した。

一方、IntelはAI PCやCore Ultraチップセットなどの製品群を投入したが、AIアクセラレータ製品の成功が限定的であったことや、x86ビジネスの成長が緩やかであったことから、2位に後退した。Intelの半導体売上高は、2024年に0.1%増とほぼ横ばいであった。

NVIDIAは、AIビジネスの強さを背景に、2024年の半導体売上高を83.6%増の459億8,800万ドルに拡大し、ランキングを2つ上げて3位に躍進した。Micron Technologyも12位から6位へと大きく順位を上げた。

2024年ランク2023年ランクベンダー2024年売上高 (百万ドル)2024年シェア (%)2023年売上高 (百万ドル)2024年成長率 (%)
12Samsung Electronics66,52410.640,94262.5
21Intel49,1897.949,1170.1
35NVIDIA45,9887.325,05383.6
46SK hynix42,8246.823,02786.0
53Qualcomm32,3585.229,22510.7
612Micron Technology27,8434.416,12372.7
74Broadcom27,6414.425,6137.9
87AMD23,9483.822,3077.4
98Apple18,8803.018,0524.6
109Infineon Technologies16,0012.617,022-6.0
その他 (上位10社以外)274,77543.9263,4834.3
合計市場625,971100.0529,96418.1
出典:Gartner (2025年2月)
スポンサーリンク

メモリ市場が大幅回復、HBMが成長を牽引

メモリ市場は、2024年に71.8%もの驚異的な成長を遂げ、半導体売上高全体に占める割合は25.2%に拡大した。DRAMの売上高は75.4%、NAND型フラッシュメモリの売上高は75.7%増加した。

特に、High Bandwidth Memory(HBM:広帯域メモリ)の生産がDRAMベンダーの収益に大きく貢献している。HBMの売上高は、2024年にDRAM売上高全体の13.6%を占めるまでに成長した。

一方、非メモリ半導体の売上高は6.9%増にとどまり、半導体売上高全体に占める割合は74.8%であった。

Brocklehurst氏は、今後の見通しについて「メモリとAI半導体が短期的な成長を牽引するであろう。特にHBMはDRAM売上高に占める割合を拡大し、2025年には19.2%に達すると予測される」と述べている。さらに、HBMの売上高は2025年に66.3%増の198億ドルに達すると見込まれる。

XenoSpectrum’s Take

2024年の半導体市場は、AI需要の爆発的な増加とデータセンター投資の拡大によって、予想を大きく上回る成長を遂げたと言える。中でもNVIDIAの躍進は目覚ましく、AI分野における同社の лидерство を改めて強く印象付けた。メモリ市場の回復、とりわけHBMの成長は、今後の半導体市場を占う上で重要な要素となるであろう。

しかしながら、DeepSeek R1のように、より効率的なAIモデルが登場していることは、今後の半導体需要に変化をもたらす可能性も示唆している。また、米中貿易摩擦などの地政学的なリスクも依然として存在しており、今後の市場動向を注意深く見守る必要があろう。


Source

Follow Me !

\ この記事が気に入ったら是非フォローを! /

フォローする
スポンサーリンク

コメントする