Samsung ElectronicsHBM4歩留まりが80%近くに達したと、Seoul Economic Dailyが2026年8月9日に報じた。2月の量産開始時は60%未満だったとされ、当初の年末目標へ約4カ月早く届いたことになる。Samsungは量産と顧客向け出荷を公式に発表しているが、歩留まりの数値は開示していない。それでも今回の改善が量産ライン全体で続くなら、発表済みのNVIDIA向け販売とAMDとの供給協業を、出荷量と収益へ変える速度は上がる。

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半年で60%未満から80%目前へ

Seoul Economic Dailyが業界関係者の話として伝えた歩留まりは、量産初期の60%未満から約半年で80%近くまで上昇した。同紙は80%前後を、安定生産と採算改善の目安になる「ゴールデン・イールド」と説明している。年末までの目標へ8月時点で近づき、SamsungはHBM4の供給拡大を前倒しできる状況になったという。

公式発表から確認できるのは、量産がすでに製品出荷へ進んでいる点だ。Samsungは2月12日、HBM4の量産を始め、顧客へ商用品を出荷したと発表した。第2四半期の決算資料でもHBM4の販売拡大を明記し、HBM4Eの最初のサンプルを主要顧客へ送ったとしている。一方、Samsungが公表資料で用いる表現は「安定した歩留まり」までで、60%や80%という値はSeoul Economic Dailyの報道に基づく。

歩留まりは、製造したチップやパッケージのうち良品として出荷できる割合を指す。投入量が同じなら、60%から80%への改善で出荷可能な個数が増え、良品1個当たりが負担する製造コストも下がる。HBMが供給不足にある局面では、この差が顧客へ渡せる量と採算の両方に効く。Samsung自身も第2四半期の決算資料で、生産を増やしてもサーバーDRAM、企業向けSSD、HBMの需要が供給を上回るとの見通しを示した。

12層HBM4で歩留まりが効く理由

Samsungの量産品はDRAMダイを12層に積み、その下に信号と電力を制御するロジックベースダイを置く。DRAMには第6世代の10nm級「1c」プロセス、ベースダイには4nmプロセスを採用した。メモリ製造、ロジック製造、積層パッケージの各工程をまたぐため、どこかで不良が増えれば完成品の収量が落ちる。歩留まり80%という報道値が注目されるのは、先端プロセスを組み合わせた12層品を、量産規模で安定して作れる水準に近づいた可能性を示すからだ。

製品性能はすでに公開されている。ピン当たりの転送速度は11.7Gbpsを安定して実現し、最大13Gbpsまで引き上げられる。HBM4の標準値としてSamsungが示す8Gbpsを約46%上回り、1スタック当たりの帯域幅は最大3.3TB/秒に達する。12層品の容量は24GBから36GBで、将来の16層品では48GBまで広げる計画だ。

HBM4ではデータ入出力がHBM3Eの1,024本から2,048本へ倍増した。配線が増えれば、消費電力と熱を抑えながら信号を通す設計が難しくなる。Samsungは低電圧TSVと電力供給網の最適化により、HBM3E比で電力効率を40%改善し、熱抵抗を10%、放熱性能を30%改善したとしている。規定の速度で性能試験を通る良品を継続して増やせるかが、仕様表の性能を供給力へ変える条件になる。

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顧客採用は決まり、次は量を出せるか

SamsungとAMDは3月、Instinct MI455X向けHBM4供給を含む協業の覚書を結んだ。AMDの公式仕様では、MI455Xは432GBのHBM4を搭載し、理論上のメモリ帯域幅は最大23.3TB/秒である。MI455Xを72基組み込むHeliosの量産導入は2026年後半に始まる見込みだ。Samsungは第1四半期決算で、NVIDIA Vera Rubin向けにもHBM4の量産販売を始めたと説明している。

顧客案件がある以上、歩留まり改善の価値は売上計画に直結する。Seoul Economic Dailyによると、Samsungのメモリ事業を率いるKim Jaejune副社長は第2四半期の決算説明会で、第3四半期のHBM4売上高を前四半期の3倍超へ増やし、2026年後半にはHBM売上高に占めるHBM4の比率を60%超にすると述べた。80%近い歩留まりが維持できれば、この増収を生産面から支えられる。

ただし、歩留まりの上昇と市場シェアの上昇は同じではない。AIアクセラレーター向けメモリは、速度や消費電力の試験を通り、顧客ごとの認定を得て初めて量産出荷へ進む。供給量は良品数に加えて、生産能力、顧客別の割り当て、製品構成にも左右される。80%という一つの値から、SK hynixとの差が消えたとも、NVIDIA向けの配分が増えたとも判断できない。

「80%」の次に確認する数字

今回の報道は、80%がどの工程を分母にした歩留まりかを明らかにしていない。DRAMウエハー、良品ダイ、積層後のパッケージ、最終検査では、それぞれ数値の意味が変わる。対象となる容量や速度区分、製造ライン、検査条件も不明だ。他社の歩留まりと比較するには、同じ工程と条件で測った値が必要になる。

次世代HBM4Eでも同じ注意が要る。Samsungは5月29日、12層・48GBのサンプル出荷を公式に発表した。安定動作は14Gbps、最大16Gbps、帯域幅は1スタック当たり最大3.6TB/秒で、量産開始は顧客日程に合わせるとしている。Seoul Economic Dailyは信頼性試験の歩留まりが70%以上へ上がったと報じたが、Samsungはこの数値を公表しておらず、HBM4量産時の80%と同列には比べられない。

SamsungのHBM4が量産競争で前進したかどうかは、第3四半期に売上高を3倍超へ伸ばせるか、増産後も良品率を保てるかで見えてくる。HBM4Eについては、顧客認定を経て量産時期が確定したとき、HBM4で築いた製造工程を次世代品へ引き継げたと判断できる。